第30回 AMD Award '24
リージョナル賞
- みんなの防災アプリ
[受賞者]
愛媛県西予市
国立大学法人愛媛大学
イツモスマイル株式会社

授賞理由
「みんなの防災アプリ」は、愛媛県西予市と愛媛大学、イツモスマイル株式会社の共同で開発されたアプリ。地域の避難状況を一覧管理する「逃げ遅れゼロ」、各家庭の備蓄品を管理する「備蓄品」、屋外防災無線を音とテキストで確認・再生する「防災無線」、各家庭の災害に応じた避難計画を作成する「避難計画」の機能がある。災害時の情報共有を強化、住民参加型の防災活動促進、災害時の弱者支援の配慮、地域の防災力を大幅に向上させるだけでなく、産学官連携による新たな防災モデルを示し、その革新性と地域社会への貢献度は高く、他の地域や分野への応用が期待される。
受賞コメント
■ 愛媛県西予市
この度は、AMDアワード「リージョナル賞」という栄誉ある賞にご選出いただき、誠に嬉しく、心から深く感謝申し上げます。
当市は、平成30年7月豪雨災害を経験し、防災の大切さをこれまで以上に強く認識し様々なことに取り組んできました。そのような中「みんなの防災アプリ」は、地域の防災力を何とか高めていこうと邁進する住民の声から生まれました。デジタルの力を活用して地域の逃げ遅れゼロを目指すアイディアを愛媛大学の皆様が形にし、地域と共に訓練や検証を重ね、そこにイツモスマイル株式会社の皆様が加わることで、機能的で誰もが使いやすい防災アプリに発展を遂げました。
地域・大学・企業・行政が従来の枠組みにとらわれず、全体で目標を共有し、それぞれが適切に役割を果たし、強みを発揮し合うことでこのアプリが実現したのだと感じます。関係者の皆様に改めて感謝を申し上げます。
アプリに搭載された機能はどれも自助・共助・公助すべての面で防災力を高めるために必須のものです。西予市として、引き続き、より誰もが使いやすいものにするために関係者の皆様と共に検証や改善を図るとともに、地域の自主防災組織などと連携して日頃の活用の裾野を広げてまいります。
また、このアプリは、西予市のみならず色々な地域で共有できるプラットフォームとしても活用できる仕組づくりを目指し、全体の防災力向上に貢献できればと考えています。
今後とも皆様と共に歩んでまいります。この度は、本当にありがとうございました。
■ 愛媛大学
この度は、AMDアワード リージョナル賞にご選出いただき、誠にありがとうございました。
本アプリの原点は、西予市野村町で自主防災活動に取り組まれていた故・兵頭和夫さんの「森脇先生、災害時に支援者が情報共有できるアプリを作れないか」というご依頼でした。それに応え、当時工学部2回生だった丸井健さんが、夏休みの2週間で「逃げ遅れゼロ」アプリを開発。その後、避難訓練などでの活用を通じて、日常的に使える機能の必要性が浮かび上がり、同じく2回生の髙石稚葉さんが「備蓄品管理」アプリを開発しました。これらの機能を統合し「みんなの防災」が誕生しました。
このアプリは、地域で防災活動に尽力される方々、その思いに応えようとする学生たち、事業の枠を超えてご支援くださったイツモスマイル株式会社様、そして地域と大学をつなぎバックアップしてくださった西予市様、すべてのステークホルダーが有機的につながることで実現しました。
このようなアプリがリージョナル賞を受賞できたことを大変嬉しく思うとともに、関わってくださったすべての皆様とこの喜びを分かち合いたいと思います。今後、このアプリがさらに多くの地域で活用されるようになり、地域内の共助の取り組みが進み、そして一人でも多くの方が自然災害から守られることを心より願っております。本当にありがとうございました。
■ イツモスマイル
この度は「AMDアワード リージョナル賞」に選定いただきまして、誠にありがとうございます。
西予市様、愛媛大学様の「想いが溢れる」素晴らしい地域防災への取り組みに、当社が参画できた点だけでもプライスレスな価値がありましたが、このような栄えある賞をいただき感慨無量の思いです。
公助だけではなく地域共助による防災が改めて注目されている昨今ですが、人口減少時代に差し掛かり地域活動や共助においてデジタルの有効活用が必須となりつつあります。
「みんなの防災アプリ」はシンプルかつ必要機能のみに特化した防災共助アプリでデジタルに苦手な方もご利用いただけます。この賞を励みとし「みんなの防災アプリ」を含めた当社の他「やさしいデジタルアプリ」で地域貢献できるよう邁進いたします。
受賞にあたり、社内メンバーをはじめ関係する全ての方々に心より感謝いたします。
ありがとうございました。
受賞者プロフィール
■ 愛媛県西予市
愛媛県南部に位置する西予市。
平成16年に5つの町が合併して「西予市」となり、今年度生誕20周年を迎えました。海抜0m~1,400mの地理を有し、広大な大地の上に海里山全ての暮らしが彩り豊かに根付いたまちです。
多様な自然環境を誇るが故、様々な自然災害に対応するためあらゆる防災対策に力を注いでいます。令和5年3月には事前復興計画を策定し、従前の防災対策と並行して災害後の復旧復興の迅速化を視野に入れた対策にも取り組んでいます。
今後も、「暮らして安心が体感できるまちづくり」の基本理念の実現に向けて、官民が一体となったまちづくりを進めていきます。

※地図は「国土数値情報(行政地域)」(国土交通省国土地理院地図)を加工して使用




■愛媛大学
愛媛大学は、「地域とともに輝く大学」を大学憲章に掲げ、産業、文化、医療等の幅広い分野において最高水準の知識と技術を地域社会・国際社会に提供し、持続可能な社会の発展に寄与することを目指しています。 特に災害から地域の安全、安心を守る「防災」は、地域に根ざす大学が総力を挙げて取り組むべき重要な課題です。工学部、地域レジリエンス学環、防災情報研究センターでは、自然災害に備え、誰もが住みがいのある地域を築くため、事前に行動ができる人材の育成やデジタル技術を活用した地域防災力の向上に取り組んでいます。
■イツモスマイル
介護・医療・看護・障がい福祉・保育事業を中心として、「かかわるすべての人がいつも笑顔で」を合言葉に社会課題解決型ビジネスを展開してきました。先進デジタルをはじめ、今まで現場を通して培ったナレッジやノウハウ、アイデアを最大限に活用し、「社会課題の解決にデジタルで貢献する」ことをミッションに掲げ2019年に「デジタルソリューション事業部」を創設いたしました。
私たちはお客様の環境やご要望に応じた最適なデジタルソリューションをワンストップで提供し、デジタルを活用しながら、高齢者にもやさしいアプリ・システム提供及び受託開発、DXコンサル事業で社会課題解決へ寄与しています。
受賞作品紹介
「みんなの防災アプリ」は愛媛県西予市・愛媛大学・イツモスマイル株式会社が、地域の声・防災知見・開発経験を活かし、産学官共同で開発されたアプリです。 主に4つの機能があり、災害時の共助の取組を支援しています。
① 逃げ遅れゼロ機能
地域の要配慮者の避難状況を一覧管理する機能があります。要配慮者本人もしくは支援者が避難有無を登録することにより、要配慮者の避難状況が共有され、ひと目でわかります。地区毎の備蓄品の管理機能やチャット機能もあり、各地区や班ごとにリアルタイムでコミュニケーション可能です。
② 備蓄品機能
各家庭の備蓄品を場所や登録アイテムごとに管理する機能です。
写真保存機能や期限 1 か月以内の物や期限切れに対してのお知らせ機能があります。
③ 防災無線連動機能
屋外防災無線放送と連動し、放送内容をテキストや音で確認できます。過去の配信内容も閲覧でき、地区の選択や放送時期の選択し、検索も可能です。
④ 避難計画機能 各家庭の災害に応じた避難計画を作成できる機能です。個人の計画作成は勿論のこと、家族やグループでの共有も可能です。また、ハザードマップとも連携されていて避難所の検索もすぐにできます。